短答過去問集の正答率について

 市販されている短答過去問集には、出題当時の受験生の正答率が記載されているものがあり、これが参考になるので、過去問集を解く学習をメインにする、という人もいるようです。正答率の高い問題は、「落とせない問題」だということがわかるなど、参考になる面はあるでしょう。
 ただ、気を付けたいことがあります。それは、この正答率は、出題当時に受験生が初見で解いたときのものだ、ということです。最新判例や法改正が絡む問題の場合、当時は知らない人が多くても、やがてはその判例や条文を前提に学習するようになるので、みんな知っている知識になっていきます。最新判例や法改正以外の知識でも、数年経つと、過去問演習を通じて解いたことのある受験生の数が増えていきますし、短答過去問で出題された知識として、予備校のテキストに普通に掲載されるようになります。当時はマイナーな知識だったとしても、現在はそうではない、ということになっていくのです。
 このことを踏まえると、過去問集に記載された正答率は、「正答率の高い問題は現在も解けて当たり前」ということはいえるとしても、「正答率の低い問題は現在も誰も解けないから無視して大丈夫」というのは危ない、ということがわかります。短答は、過去に出された肢が繰り返し出題されるという傾向にあるので、一度出て正答率の低かった肢がもう一度出題される可能性があり、そのときは、正誤を正しく判断できなければなりません。そうなると、結局は「過去問は全部潰す。」ということになる。なので、正答率が参考になるからという理由で敢えて過去問集を用いるというのは、適切とはいえないのです。
 当サイトでは、以前から肢別問題集を解く方法を推奨しており、その理由は以前の記事(「令和4年予備試験短答式試験の結果について(2)」)で詳しく説明しています。ただ、正答率については説明をしていなかったので、補足をしました。

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