今年の憲法は、広い意味では三者形式であるものの、問い方が従来と少し異なっています。
(問題文より引用。太字強調は筆者。) 甲:では、ひとまず、今日の議論を踏まえて、新制度案の憲法適合性について批判的な見地から意見をまとめてください。その上で再度議論しましょう。 (中略) 〔設問1〕 〔設問2〕 (引用終わり)
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設問1で「新制度案の憲法適合性」を問い、設問2では、Xの意見(及びそれへの反論)の適否を問うている。そうすると、いわゆるフルスケールの論述をすべきなのは設問1であって、設問2は、反論を踏まえたXの意見の適否を論じれば足りるのだろう。そして、Xの意見は、「批判的な見地」、すなわち、違憲の主張でなければならない。そうすると、設問1については、フルスケールで違憲の主張を書いて、設問2では、合憲方向の反論を挙げて、その適否を私見として検討し、結論としては、「Xの意見は適切である(でない)。」と答えることになるのでしょう。当サイトの参考答案(「令和5年司法試験論文式公法系第1問参考答案」)は、そのような理解に基づいて作成されています。
上記の理解が正しければ、従来の三者形式と異なり、設問1に大きな配点があるはずです。従来のように、設問1で違憲の主張を箇条書きのように書いて、設問2で私見としてフルスケールの論述を展開するという書き方だと、評価を落とす可能性がありそうです。