平成30年予備試験口述試験(最終)結果について(1)

1 平成30年予備試験口述試験の結果が公表されました。合格点は、これまでと同じ119点最終合格者数は、433人でした。昨年の最終合格者数444人と比べると、11人の減少ということになります。
 今年の口述試験の受験者合格率は、433÷456≒94.95%でした。以下は、これまでの推移をまとめたものです。

 年
(平成) 
受験者数 合格者数 受験者
合格率
前年比
23 122 116 95.08% ---
24 233 219 93.99% -1.09%
25 379 351 92.61% -1.38%
26 391 356 91.04% -1.57%
27 427 394 92.27% +1.23%
28 429 405 94.40% +2.13%
29 469 444 94.66% +0.26%
30 456 433 94.95% +0.29%

 平成26年までは下落傾向平成27年と平成28年は上昇傾向昨年と今年は、上昇傾向が続いているとはいえ、ほぼ横ばいとなってます。以前にも説明したとおり、口述試験の理論的な合格率は、93.75%です(「平成30年予備試験口述試験対策について」)。平成28年以降は、それをやや上回る数字で推移しています。ですから、当面は58点以下が付く可能性を考える必要はないでしょう。

2 以下は、年代別の口述合格率(論文合格者ベース)の推移です。


(平成)
19歳
以下
20代 30代 40代 50代
以降
23 --- 96.0% 94.2% 87.5% 100%
24 --- 99.2% 91.8% 81.8% 83.3%
25 --- 95.0% 93.4% 75.8% 64.2%
26 --- 92.6% 83.9% 86.2% 87.5%
27 --- 93.0% 92.0% 83.8% 88.2%
28 --- 95.4% 89.1% 91.3% 88.8%
29 100%
(2人)
96.8% 88.0% 87.0% 87.5%
30 100%
(1人)
95.6% 94.1% 93.9% 66.6%

 従来から確立している傾向として、20代が常にトップ、ということがありました(母数の少ない19歳以下を除く。)。今年も、20代トップの傾向に変化は生じていないといえます。口述も、基本的には若手有利といえるでしょう。もっとも、30代以降については、年によってバラ付きが大きく、また、年代ごとの合格率の差も、そこまで大きくはありません。最も合格率の高い20代でも、今年は15人落ちています。50代以降が極端に低く見えますが、これは母数が小さい(15人中10人合格)ことによります。ですから、論文のような圧倒的な差があるというわけではない。その意味では、年配者だからといって、特別な対策を考える必要はないだろうと思います。

3 以下は、予備試験の最終合格者の平均年齢の推移です。


(平成)
最終合格者
平均年齢
23 31.57
24 30.31
25 27.66
26 27.21
27 27.36
28 26.16
29 26.90
30 27.43

 平成24年から平成25年にかけて一気に若年化が進み、平成27年まではほぼ横ばい。そして、平成28年はさらに1歳以上若年化しましたが、昨年から、やや上昇傾向へと変化してきています。その主な要因は、大学生や法科大学院生の合格者の増減にあります。以下は、最終合格者全体に占める大学在学中、法科大学院在学中の合格者の割合の推移です。


(平成)
大学在学中 法科大学院在学中 両者の合計
23 33.6% 5.1% 38.7%
24 31.5% 27.8% 59.3%
25 30.4% 46.7% 77.1%
26 32.0% 47.1% 79.1%
27 39.5% 35.0% 74.5%
28 44.1% 38.0% 82.1%
29 47.9% 24.5% 72.4%
30 39.2% 35.1% 74.3%

 一般に、大学生・法科大学院生は若者が多いので、大学在学中、法科大学院在学中の合格者の割合が増加すると、全体の平均年齢は若年化しやすくなります。平成23年及び平成24年は、メインの受験生が旧司法試験組でした。それが、平成25年から法科大学院生が本格的に参入するようになり、劇的に若年化が進んだのです。そして、平成28年の若年化の原因は、大学生合格者の増加にありました(「平成28年予備試験口述試験(最終)結果について(1)」)。
 一方、昨年と今年は、平均年齢でみると同じ上昇傾向でも、その要因が異なることがわかります。昨年は、大学生の割合が増加を続ける一方で、法科大学院在学中合格者の割合が大幅に減少していました。その結果、全体の合格者に占める大学在学中・法科大学院在学中の者の割合が減少していたのでした(「平成29年予備試験口述試験(最終)結果について(1)」)。これに対し、今年は、大学在学中合格者の割合が減少した一方で、法科大学院在学中合格者の割合が大きく増加しています。昨年とは、全く逆の現象が生じているのです。結果として、両者の占める割合はやや増加しましたが、大学生より法科大学院生の方が一般に高齢なので、それが平均年齢をやや押し上げたというわけです。もっとも、法科大学院の入学者数が年々減少していることからすると、この傾向が長続きするとは思えません。今年の結果は、イレギュラーなものと考えるべきでしょう。

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