解答の対象とその比重を読み取る
(令和5年予備試験憲法)

1.今年の予備憲法。設問から、大きく分けて、「Xの主張」と「私見」を解答すべきことが読み取れます。

問題文より引用。太字強調は筆者。)

 この証言拒絶について、Xの立場から憲法に基づく主張を述べた上で、それに対して想定される反論や関連する判例を踏まえて、あなた自身の見解を述べなさい

(引用終わり)

 では、「Xの主張」と「私見」のどちらに分量を割くべきか。設問からは、圧倒的に「私見」に比重を置くべきことが読み取れます。

問題文より引用。太字強調は筆者。)

 この証言拒絶について、Xの立場から憲法に基づく主張を述べた上で、それに対して想定される反論や関連する判例を踏まえて、あなた自身の見解を述べなさい。

(引用終わり)

 「関連する判例を踏まえて」が、私見の方にしか付されていない(※1)。逆にいえば、Xの主張の方は、判例を踏まえて論じる必要はない、ということです。これは、今年の司法試験とは対照的です。
 ※1 「想定される反論」が私見の方にかかってくるのは当然のことなので、それほど重視すべきことではありません。

令和5年司法試験公法系第1問問題文より引用。太字強調は筆者。)

〔設問1〕
 あなたがXであるとして、甲とXの会話で触れられた論点をめぐり、新制度案の憲法適合性について、判例や学説を踏まえてどのような意見をまとめるべきか論じなさい。

〔設問2〕
 〔設問1〕で述べられたXの意見について、それへの反論も想定しつつ、あなたの立場からその適否を論じなさい

(引用終わり)

 司法試験の方では、設問1のXの意見について、「判例や学説を踏まえて」が付されている。このような問い方がされた場合には、設問1のXの意見部分がメインであって、設問2の私見部分は、反論を踏まえたXの意見の適否を論じれば足りるという読み方になります(「設問1と設問2の解答対象(令和5年司法試験公法系第1問)」)。予備の方は、これとは逆になっている。そうなると、本問の場合、Xの主張は、判例を踏まえない簡略な記載にとどめるべき、という判断になるでしょう。

2.加えて、前回の記事(「考査委員激おこ答案(令和5年予備試験憲法)」)でも説明したとおり、本問はダイレクトな判例のある問題です。なので、判例に踏み込まないで書くとなると、問題提起程度のものにとどまる感じになる。こうして、本問では、Xの主張部分は、ごく簡潔なもので足りるだろう、という判断に至るわけです。端的にこれを反映したものが、当サイトの参考答案(その1)です。

(参考答案(その1)より引用)

第1.「職業の秘密」(民訴法197条1項3号)該当性

1.Xの主張

 Xの活動は報道であり、インタビューに応じた者の名前は報道機関における取材源と同様に、「職業の秘密」に当たる。

 (中略)

第2.比較考量

1.Xの主張

(1)「職業の秘密」に当たる以上、当然に証言拒絶が認められる。

(2)仮に比較考量をしても、取材源秘匿の要請が上回るから証言拒絶が認められる。

(引用終わり)

 予備試験の答案用紙は22行(※2)、4頁だけなので、想像以上に書きたいことが書けません。Xの主張部分で体裁を保つだけのあまり意味のない論述や、私見と重複する事実の摘示をしてしまったりすると、肝心の私見部分がスッカスカになりかねません。ここは、割り切りでXの主張をごく簡潔にとどめるのが、適切な判断だったのではないかと思います。
 ※2 司法試験の答案用紙は23行あるので、同じ1頁でも地味に予備の方が書ける量が少ないのです。

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